グランドキャニオンの撮影ポイントの特定方法

2016/3/19

旅行の写真が撮った場所が分からないということはよくあると思います。有名な建造物モニュメントなどは全く迷わないと思いますが、あまり特徴的でないものの場合悩みます。

グランドキャニオンの場合、ぱっと見で分かるモニュメントなどもありますが多くは岩の風景です。まあ岩でも特徴的なものもあったりしますが、基本的にどのポイントから撮ったのかを簡単に特定できるような風景は非常に少ないです。

その場合手がかりになるのが撮った時間旅程旅日記どです。デジカメだと撮影時間が秒単位で分かります。旅程が明確だったり、日記をこまめに付けていれば、撮影時間と日記などから推測可能です。

1989年のこの旅行では当然昔の銀塩カメラです。日付、時分などを表示する機能がありましたが、時分表示にしていないと当然時刻までは分かりません。通常はこれを嫌って表示しないか、しても日付表示が一般的だと思いますが、幸いこの時は時分表示にしていました。しかし時分が表示してあっても、あくまで表示なので、被写体によっては読み取れないものもあります。時分表示でかつ読みとれて、旅日記などと照らし合わせれば、場所の特定ができます。グランドキャニオンの写真の場合は読み取れないものが4分の1くらいありましたが、逆に4分の3は読めたということです。あとネガが残っていれば、少なくとも撮った順番は分かりますが、幸いネガは残っています。

日記についてはグランドキャニオンの2日間のものは以下のような内容です。

12月20日(水)グランドキャニオン初日の日記
7:40頃フラッグスタッフ出発。けっこう距離があり、9時ごろグランドキャニオン着。すぐにYHに行くが、少し遅くチェックインできず、リザベーションだけ。めしも食わずに早速ポイントまわりへ。(その前にビジターセンターへ。電話でセスナの予約)

最初変な所をマリコパと間違える。ウェストリムを順番にまわり、PimaをとばしてHermitsRestへ。帰りにPimaへ。

昼食とってマーケットで買出しして、イーストリムのポイントをまわり、エアポートヘ。2:00セスナ($50)に乗車。さすがにすごい。思った程低くはなかったが、それでもすごい。

降りてきて、少し調べものして、もう一度ヤバパイへ行ってから、YHへチェックインして、さっそく、ホピへ。やけに明るい夕日であった。その後YHに帰らず、車で夕食。道に迷ってYHに帰る。電話かけに行って、そのまま星を見にウェストリムのポイントへ。8時半ごろ帰ってくる。

12月21日(木)グランドキャニオン2日目の日記
朝7時ごろおきて、7:20 朝日を見にマーサへ。しかし雲のため朝日は拝めなかった。

YHへ帰ってきて朝食とって、すぐにチェックアウト。少し掃除をさせられる。8:40ブライトエンジェルトレイルを開始。10:20ごろスリーマイルハウスまで来たので、ここで終わりにすることにする。少し先のがけの上まで行って休む。

10:40登りはじめる。11:20マイル&ハーフハウスまで来たので休憩。11:30また歩き始め。11:52つららのある所でまた休憩。12:20やっと出発点にもどる。
マーケットに買出しに行って、ヤキまで行って昼食。

イーストリムを順に見て、3:00過ぎデザートを発。

全ポイントについては書いてないですし、時間記述も書いたり、書かなかったりです。回ったコースの方向(西方向なのか東方向なのか)や順番(東から順に見たかなど)などが、何となく分かります。ただピマポイントについて記述など、場所特定に重要な情報が書かれていたりしました。

日記の内容撮った順番、及び時刻は極めて重要です。例えばA写真とB写真があり、前者が先の写真で、日記などから東から西に向かって進んだ場合、A写真を撮った場所の方が東にあるはずです。勿論これらの写真の時刻がほぼ同じであれば、単に同じ場所から撮ったと言えますが、十分に時間が開いていれば別の場所と言えるので、その後は位置関係が重要な情報になります。

このように位置関係は極めて重要な情報ですが、グランドキャニオンの各ビュー・ポイントは地図がWeb上に沢山載っているのでそれは分かります。以下のサイトの地図が分かりやすいです。

地図自体は著作権があるので、そのままここに掲載できないので、リンクを貼っておきます。

まるごとラスベガス ビュー・ポイントの注意事項 サウスリム編

まるごとラスベガス グランドキャニオン国立公園内無料シャトルバス

勿論googleマップもいい地図情報になります。何と言っても信頼性が高いです。


 次に大きな手掛かりとして、ネット上の写真情報があります。現在はネットに旅行会社の観光地案内個人の旅行日記などが氾濫しており、思わぬところから場所を確認できたりすることが多いですね。昔だったら非常に困難だった情報収集が今は簡単にできるので助かります。ただこれには注意が必要です。特に個人サイトの場合、間違いがあります。当然彼らも同じ問題を抱えているので、必ずしも正確に撮った場所が特定できていない場合があるからです。一方商用サイトはそれなりに信用できますが人間がつくるものです。100%ということは言えません。そのため複数の情報がないと完全特定にはリスクがあります。

あと静止画である写真情報の欠点としては、各ビュー・ポイントで視野角が広いので、なかなか私が撮った写真と同一方向を映した写真と遭遇できないことです。方向が90度違ったら、まず同一場所と判定できません。因みに動画情報も若干はありましたが、圧倒的に少なく、場所特定に役だったものは殆どありませんでした。

またネットの情報として強力なものにgoogleマップがあります。地図情報として有用であるのは前述しましたが、航空写真があるので写真情報としても使え、しかも信憑性は非常に高い情報です。しかし航空写真だと識別が難しいものが多いです。グランドキャニオンの岩などはその一つです。残念ながらgoogleマップは標高表示がありません。色合いや影などから想像する他ないのですが、部分がある程度想像できれば、位置関係は100%信用できるので、使い方次第では強力な情報源になりました。

あとgoogleマップにストリートビューという強力な機能があります。当初車がいけるところしか見れないと思っていたのですが、何と遊歩道の情報もあり、かなり多くのビュー・ポイントの情報を得ることができました。とにかく360度見渡せるので、動画ではないにも関わらず、前述の静止画の欠点を完全に補ってくれます。それに何と言っても信憑性が高いです。非常に有用な情報源だったのですが、実はこの遊歩道までの情報があることは、かなり後になって分かったので、随分と場所が特定できてから、裏付けを強化するための情報として活用した場面が多かったのが残念です。もっと早く知っていればこんなに苦労しなかったのに。。

いずれにしても情報は多いに越したことはないので、上記の様々な情報を総合して決めていくことになりますが、信憑性の低い情報だけを総合してもなかなか決定力がありません。前述のモニュメント系の写真情報など信憑性の高い情報を軸に展開していく必要があります。何か刑事事件を捜査しているような気分でした。

要約すると、写真の表示時刻、撮った順番、断片的ですが旅日記の内容、各ビュー・ポイントの位置関係、ネット上の各ビュー・ポイントで撮ったとされている複数の写真情報、googleマップ、ストリートビューなどから、信憑性の高い情報を軸に総合的に判断して、撮影ポイントを割り出していって、全ての写真の撮影場所が特定できました。


 代表的な場所特定の具体的な例を書いてみます。

以下のトレイルビュー見晴台の写真ですが、当初はどこだか分かりませんでした。

[@トレイルビュー見晴台]

時間ははっきりと9:43と読めますし、グランドキャニオンで最初の写真であることもネガを確認して分かってます。日記によるとグランドキャニオンビレッジに9時頃ついて、いろいろやった後、そこからウェストリムを順に見て行ったとあるので、当初はビレッジの近くのポイントであるヤバパイあたりかと思いました。

しかし日記の記述に「最初変な所をマリコパと間違う」と書いてあるので、その変なところでは写真を撮らずにマリコパへ行き、そこで初めて撮った写真ではないかということでマリコパに推測を変更しました。実はネットにもそれを裏付けるっぽい写真が掲載されていました。(後にこれは間違いだと分かります)

しかし、この写真に写っている真中の下の方の少し平らな台地細い筋が見える部分があると思いますが、これは他のWeb上の写真情報などからブライト・エンジェル・トレイルブラトゥ・ポイントまで続く道です。ごつごつした岩が多いグランドキャニオンにあって、この平らな台地は特徴的で、かつ一本の筋があるのでこれは間違いないと言えます。いわば一番信憑性の高い情報なので、これを軸にもう一度検証し直します。

googleマップで確認するとマリコパからはどうしてもこの台地がこのように見えるはずがないのです。絶対に岩に隠れて見えないはずなのです。これはマリコパで撮ったとされる複数の写真を見ても、この台地が映っているものは一つも見つかりませんでした。

そんな疑問の中、更にgoogleマップを見ていると「trailview point」という場所を見つけました。これまで調べてきたビュー・ポイントにはこんなポイントはないのですが、どうもここのように思えてきました。ここからであれば、あの台地がまさにあのように見えるはずです。当初trailviewを「トライアルビュー」と読んでしまっていたのですが、別のサイトを見ていたら、これが「トレイルビュー」であると分かり、そうか「ブライト・エンジェル・トレイルが見えるポイントなんだ」と気がついた訳です。またgoogleマップでは「trailview point」とありましたが、他のサイトではここをビュー・ポイントとして説明しているところは殆どなく、「トレイル・ビュー・オーバールック(見晴台)」と紹介しているところもありました。やはり正規のビュー・ポイントではないようです。

そうすると「最初の変なところ」という日記に記述にも合致します。所謂正規のビュー・ポイントでないトレイル・ビュー・オーバールック(見晴台)に行ってしまって、マリコパと間違えて写真をとったと結論づけた訳です。これが撮影場所の特定として一番、目から鱗でした。


次の例を示しましょう。以下の写真を見て下さい。

[A私が絶壁に立っている写真]

この写真自体はご覧のように時刻が読みとれません。しかしこれの直前に撮った写真が少々ピンボケでWebに掲載できるようなものではないのですが、時間は10:07とはっきり読めて、後ろに見える複数の岩の形などから、この写真と同じところで撮ったものと推測できました。一方先ほどのトレイルビュー見晴台の写真と同じ岩が映っていたのですが、他の岩との位置関係から明らかに、トレイルビュー見晴台の写真より西側から見ていることが分かりました。

そうするとマリコパパウエル、またはそれより西のポイントなのですが、この写真より前に撮った写真に以下があります。

[Bパウエル記念碑]

この写真はパウエル記念碑なので明らかにパウエル・ポイントです。最も信憑性の高い情報として、これを軸に考えます。しかしご覧のようにこの写真は全く時刻が読みとれません。しかし撮った前後関係から、写真Aのマリコパの線は完全に消えます。パウエルからまたマリコパに戻るなど、これは流石に考えられないからです。ただパウエル記念碑の撮影の時間が分からない以上、パウエルだと結論づけることもまだできません。パウエルの次のポイントである可能性は捨てきれないからです。

以下の写真はネット上の複数の写真情報からホピであると分かりました。

[Cホピ・ポイント]

人気のビュー・ポイントらしく複数の写真情報を得られたので、まず間違いありません。モニュメント系ほどではないにしても検証の軸になり得ます。時刻も10:40とはっきり読み取れます。そうすると[A私が絶壁に立っている写真]パウエルであると結論づけることができます。パウエルの西隣りのポイントがホピなので、観光時間、移動時間を考えると十分自然だからです。

これは複数の情報源から総合的に特定した典型的な例です。最終的にはgoogleのストリートビューが各ポイントで見れたので、最終裏付けを行い確定しました。


次の写真も面白い経緯で特定できたものの一つです。

[D当初ホピと思っていた写真]

コロラド川が映っていますが、直前のホピの写真Cに少し映っているコロラド川と同じ位置であることは分かったので、当初はあまり考えずホピだと決めていました。左岸の形を見比べて下さい。同じ場所であることが分かると思います。

しかしホピで撮った写真の時刻と15分の差があります。それくらい同じところにいてもおかしくはないですが、ちょっとひっかかっていました。同じところに長くいたということが気になったのではなくて、同じ場所にいながら、15分も撮影間隔が開いていることにちょっとだけひっかかっていました。

そこでよくよくホピに映っているコロラド川と比較すると、どうも回りの岩の感じが違います。川自体は同じあたりを撮っているのは左岸の形などから間違いないのですが、見ている角度が大分違うのです。手前に絶壁がありますが、その絶壁と川の距離が全然違います。写真Cのホピよりもかなり西側から見ていると思われます。まあ同じポイントでも横に移動すれば、これくらいの角度の違いはでるかもしれないとも考えましたが、更に疑問が大きくなったのは確かです。

そんなことをしているうちにモハーベ・ポイントでとったネット上の写真を見つけました。ぴったりです。結局写真情報としては一つしか無かったのですが、モハーベとホピの位置関係や距離、上記の時差、見ている角度などを総合的に判断すると、写真Dモハーベと結論づけました。

こちらも後でgoogleストリートビューで裏をとりました。


次の写真は明らかにハーミッツ・レストです。モニュメント系なので間違いようがないのでこれを軸に考えます。また時間もはっきり、11:35と読めます。

[Eハーミッツ・レスト]

これの次の写真がこの写真です。

[F当初ハーミッツ・レストで撮ったと思った写真]

読みにくいですが、何とか時刻は11:43と読み取れます。つまり写真Eと8分差なので、普通に考えれば同じ場所であると推測できます。しかしハーミッツはあまりビュー・ポイントとしてはいいところではないようで、このポイントから撮ったと言われる渓谷写真のネット上の情報が殆ど見つかりません。

一方写真Fと数分後の別のコロラド川の写真があります。

[G上記Fの写真とほぼ同じ時間に撮ったのコロラド川]


これら二つとほぼぴったり合う写真が、ピマ・ポイントで撮った写真としてネット上で見つけました。

日記の記述からハーミッツの後にピマに行ったのは確実ですが、ハーミッツとピマの距離を考えると、ちょっと微妙です。まあ余裕で移動できる時間ですが、最後にハーミッツで写真を撮って、すぐさま車に乗り、ピマに移動してすぐにまたピマで写真を撮らないと、この時差にはなりません。

ただ時差には若干の疑問は残るものの、ネット上の写真情報も複数あったので、これはピマの写真であると結論づけました。これは今までとは逆に時刻がはっきり読みとれたせいで、逆に疑問が出てしまった例ですが、こういうこともあるということです。

ただここのピマに関する日記の記述は重要でした。これがないとなぜ東にあるピマの方がハーミッツより後なのか不思議ではならず、相当悩んだはずです。

これについても最後はgoogleストリートビューで裏をとることができ確定できました。ストリートビューで確認できれば、時差程度の疑問点など吹き飛んでしまいますね。


次の写真は沢山マーサ・ポイントの写真として掲載されているので、全く迷わずマーサと結論づけることができます。

[H明らかにマーサ・ポイントである写真]

時刻と日記記述とも矛盾しないので、間違いありません。

マーサや前述のパウエル記念碑、ハーミッツ・レスト同様に以下のトゥシャン遺跡ウォッチタワーは全く疑う余地がありません。

[Iトゥシャン遺跡]

[Jトゥシャン遺跡]

[Kウォッチタワー]

 


また以下の写真達は複数のネット上の写真情報で分かりました。勿論日記の記述と時刻などの矛盾も全くありません。特にモーラン・ポイントの岩はかなり特徴的でモニュメント系並の確からしさがあります。

[Lグランド・ビュー・ポイント]

[Mモーラン・ポイント]

[Nリパン・ポイント]


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