ビデオテープの修理

2018/11/4


切れてしまったテープ

今回デジタル化を試みたビデオテープは実に30年以上も前のものです。30年ずっと使い続けた訳ではありませんが、未使用でも経年劣化はある程度避けられません。既に述べたテープの癒着による最初のトラブルもまさに経年劣化によるものですが、これは最初に早送り、巻き戻しを行うことで回避できたことも述べました。

このようにテープ癒着は問題なかったのですが、4、5本のテープで起きた不具合がテープ切れです。それも全て同じような箇所で、テープの一番初めか、一番終わりの部分でした。

[テープの一番初めの部分が切れているテープ]

写真でお分かりでしょうか。本来テープが巻き付いているはずの右側リールに何も見えません。

これには当然理由があります。再生時、特に巻き戻し、早送り時にこの最初の部分、最後の部分は大きなテンションがかかってしまうのです。テープシステムの大きな欠点、宿命かもしれませんが、勿論テープ側ではこの対策として、この部分のテープはリーダーテープと呼ばれますが、特に丈夫な素材が使われていました。またビデオデッキ側でも対策があって、テープの最初、最後の方では巻き戻し、早送り時にそれを検知して速度を緩めていたのです。

このような対策をとってきましたが、さすがに30年後までは保証できないですよね。それでも多くのテープは問題なかったのでラッキーだったくらいかもしません。

そんな訳で当初は切れたテープは仕方ないと諦めていたのですが、ちょっとネットでテープ修復のサイトなどは覗いていました。多くはリーダーテープではなく、映像を記録してある途中部分が切れてた場合の修復方法でしたが、一つだけリーダーテープが切れた場合のサイトも見つかりました。読んだみたところ、結構簡単そうだったのでトライしようかなと思いました。

後述するようにテープのカセット分解自体はとても簡単だということが分かりました。カセットは表裏2分割できるプラスチック製の部品でできてます。今後便宜上この2分割した部品の表側を表側カバー、裏側を裏側カバーと呼ばせて下さい。表裏の区別は単に一般的にラベルなどをはる部分がある方が表でしょうね。それぞれの表側カバーと裏側カバーはネジ止めされているだけなので、ネジを外せばパカンと外せるようです。

またリーダーテープが切れた場合、リールハブ部分に元々リーダーテープを取り付ける部品があり、そこに再び取り付ければいいだけのようなのです。

リーダーテープはリールのハブにある取り付け部品とハブ本体に挟むように取り付けてあります。

[ハブのテープ取り付け部品]

このテープの場合だと同じ色で見難いので、別のテープの同じハブ部分の写真が以下です。

[ハブのテープ取り付け部品]

これだと色分けしてあるので見易いでしょう。この赤い部品とハブ本体にテープを挟む形で取り付けるのです。これなら簡単そうだなということ早速やってみることにしました。

勿論説明した表裏のプラスチックカバーとリールの他、テープをガイドするための細かな部品などが結構ありますが、分解・修復に関わる部品はそれほど多くはありません。関係するものは都度説明します。


修復にトライ(2018年9月1日(土))

この日、朝から修復開始です。まずはテープの裏側を向けます。

[裏側カバーのネジ止め外し]

6箇所ネジ止めされているので、プラスのドライバーで外します。そして最初からいきなりですがここが肝心です。このまま手前の裏側カバーを外しにかかりたくなりますよね。それをやってはいけません。一旦ここでテープを裏かがして、表側を向けます

[ネジを外した後は表側へ]

そして裏側をテーブルに置いたままにするようにして、表側カバーを上空の方に外していきます。このテープのように背ラベルが貼ってあることが多いと思うので、剥がしておいた方が楽かもしれませんが、再び貼りたいので私は片方(裏側カバー部分に貼りついた方)だけ剥がしました。(これはご自由に)

表側カバーを外した状態です。

左がテーブルに置いたままにした裏側カバー。右が外した表側カバー部分です。

先ほどネジを外した裏側向きの時に外す作業をせず、一旦表向きにしてから外した理由がここにあります。理由は2点あります。一つは上記写真の右側、外した表側カバーですが、赤丸で囲った部分に金属の部品が見えるでしょう。

これはテープリールを押し付けるバネのような役割をしているのですが、これが下側にあるとテープリールが浮き上がって、めちゃくちゃ作業がやりにくいのです。そのためこれが下に来ないよう裏側カバーをテーブル側(下側)に置いたのです。

もう一点は下の写真のある部品です。

[2箇所のテープ・ガイド]

こちらは裏側カバーの方ですが、赤丸の部分に小さなパイプのような金属の部品があります。これはテープ・ガイドとなる部品ですが、これが裏側カバーが上側にあると下の落ちてしまうのです。下の写真はこの部品を外して拡大したものです。

[テープ・ガイドのとなる金属製部品]

この部品は表側カバーにも裏側カバーにも密着している部品ではないのですが、裏側カバーの方によりくっつき易いようで、裏側カバーを外していくとこちらに最初はくっついてきてしまうのですが、そのうち重力で外れてしまうのです。どこかに転がるって落ちると結構小さな部品なので、探すのも苦労します。

そのため裏側カバーを下にしておくと、表側カバーを外しても着いてこず、そのまま裏側カバー側に残るので、どこかに転がって行ってしまうこともありません。

この部品は前述のように2箇所ありますが、これ以外の細かい部品はすべて表側カバーか裏側カバーに密着しているので、特に外そうとしない限り外れることはなく、行方不明になることもないでしょう。

さてカバーが分割できたら、次は裏側カバーからリールを外します。これは最早裏側カバーに置いてあるだけなので、持ち上げるだけです。

次にいよいよリーダーテープをリールのハブに取り付けます。

[ハブのテープ取り付け部品の外す方向]

先ほども説明したテープ取り付け部品はのようなところからマイナスドライバーか何かを使って、矢印の方向にこじ開けるように外します。手前の方に滑らせて、引き抜くこともできます。

さてテープ取り付けですが、テープをハブの取り付け部品を外した溝の部分に置いて、取り付け部品を上から(上記写真の矢印とは反対方向に)ハブ部分とテープを挟み込むようにして固定する訳ですが、これが固くてはまらない

とても力が入れにくい所なのですが、それにしても固くてはまりません。ハブ側も取り付け部品側もプラスチックで多少弾力があり、そのため外すことができたのですから、はめる時もパチンとはまるはずなのですが、手の力ではだめなのです。

工具でも使いたいのですが、ペンチを使えるようなスペースはありません。リールの手前の円盤(透明な方)を外せればペンチが使えると思ったのですが、ちょっと外れそうにありませんでした。

取り付け部品を外した時にできる横から引き出しを入れるように取り付けると今度はテープを挟むことができません。ここを解説していたサイトではパチンとはまったとしか書いてません。具体的にどうやったかは書いてませんでした。特に苦労したところではなかったからでしょう。今回私がトライしている方法ではなかったのでしょうか。

その後ぐぐってもこの作業を解説したものは他には見つかりませんでした。結局ここで諦めざるを得ませんでした


リトライ(2018年9月14日(金))

ほぼテープ修復は諦めていたのですが、ふと思いついたことがあります。テープをハブにアロンアルファか何かで直接つけてしまうというのはどうだろう。この方法で考えられる懸念点は3点。

一つは強力につきすぎて取れなくなること。しかしよく考えると別に最早取れなくても全然問題なくねぇと思いました。

次の懸念点は液体のアロンアルファがテープの脇から漏れて、巻き付いたテープの他の部分にもついてそこも固定してしまう可能性です。これについてはアロンアルファが十分に乾くまで巻き取らねばいいだけかと思いました。

最後の懸念点は最初とは逆で接着が弱くまたすぐ外れないかです。まあこれはアロンアルファとの相性に期待するほかないですね。アロンアルファって時折全くくっ付かないものってあります。くっつくものはものすごく強力ですが、決して万能ではありません。これはやってみる他ないので、だめだったら諦める他ありません。

2018年9月14日(金)は夏季休暇をとっていたので、朝から修復再開です。分解するまでは先ほどと同じ手順です。そしてリーダーテープをアロンアルファでハブ部分に直接つけます。アロンアルファはできるだけテープ両脇に広がらないよう中央に少な目に塗布しました。

[アロンアルファでテープと取り付けたところ]

即乾性のアロンアルファですが、この状態で5分は置きました。その後取り付けを開始です。

テープの取りまわしは単純ですが、2箇所だけ留意して取り回します。向かって右側の方は金属製のテープ・ガイド白いプラスチック製のローラーの間を通します。

[テープ・ガイドとローラーの間を通す]

向かって左側はちょっとだけ複雑ですが、テープ・ガイドの外側を回し、下の細い金属製ローラーリード弁のようなものの間を通します。

[テープ・ガイドの外側からローラーとリード弁の間を通す]

ちょっとこの写真だとテープがどこを通っているか分かりにくいので別角度の写真も載せます。

[テープ・ガイドの外側からローラーとリード弁の間を通す(別写真)]

これだとテープの取り回しの様子がよく分かりますよね。そしてテープを巻き取ってたるみを取ります。

そして表側カバーを取り付けます。ガイドの外側のテープが少し当たりそうになるので、表側カバーのテープ部分のカバーのようなものを少し開けながらやってもいいかもしれません。

[表側カバー取り付け完了]

最後に裏側にして、6箇所のネジ止めをして完了です。

これで完成です。恐る恐るデッキにセットしてみましたが、大丈夫。少し再生したあと巻き戻しもしてみましたが、切れませんでした。修復成功です。

ただこの後、4、5本の壊れたテープを同様に修復しましたが、2回ほどまた切れました。アロンアルファで付けた部分が剥がれた感じです。しかし再び同じように修復しました。今回の用途であれば、今後何度も再生、巻き戻しを繰り返すことはありません。基本的に一度再生してデジタル化してしまえばもう用済みなので、何とか1回の再生を凌いでくれればいい訳です。

永久保存したいなら、もっとちゃんとした修復方法があるでしょうから、そんなに高いものではないので、業者に頼んだ方がいいと思います。


途中が切れたテープ

その後最初に別のVHSデッキに絡めてしまったテープを何とか取り出しました。勿論絡まったテープの多くの部分は破損してしまいました。またテープを切ることを余儀なくされたので、再生することもできなくなりました。

破損した部分は数十分分はあるかと思いますが、5つほどのアルバム無傷で残っているので、できればこれを取り込みたい。そのためには切れたテープを繋ぐ必要があります。これまでテープリーダー部分が切れたテープの修理をしてきましたが、これはちょっと違い作業になります。

[途中の記録部分が切れたテープ]

ただこれも途中をアロンアルファで着けてしまえばいいかなと単純に思いました。勿論接合部分付近の再生は諦めますが、その前後の大部分は再生できるはずです。

そこで早速修理に取り掛かりました。テープ同士を着けて修理する例はネットに沢山の載っていましたが、そこは全然見ませんでした。別にテープ同士をアロンアルファで接合する以外、これまで作業と何ら変わらないと思ったからです。

[途中を接合したところ]

接合自体はリーダーテープをハブ部分に接合するよりも簡単なので作業はあっと言う間でした。

ただこの後、再生時に気を付けないといけません。この接合部分は音が正しく再生できないのは諦めているからいいのですが、回転ヘッドに複雑に絡んでいるVHSの場合、再生走行させるだけでも危険です。どこかの部品に引っかかって切れたり、最悪またデッキの方が使えなくなるリスクがあります。

そのためこの部分はテープを回転ヘッドに巻き付けない早送り、巻き戻しで通過させないといけません。そのように注意して行ったのですが、通過させる時に再び接合部分が切れてしまいました。仕方なくもう一度接合し直して再度トライしたのですが、同じようにすぐ切れます。

切れた部分を見てみると、磁気記録面剥がれるように切れています。どうも磁気記録面はアロンアルファでも着きにくいようです。とにかく一度通過さえしてしまえば、また巻き戻すことはしないのでと思って、もう一度トライしたのですが、また切れてしまいました。

しかも今度はどこかに絡まってしまったようで、テープが出てこなくなってしまいました。これには青くなりました。我が家の唯一のS-VHSデッキがお釈迦になるのは極めて痛いです。ただいろいろやっていたら何とかテープが出てきてデッキの破損は事無きを得ました。

ちゃんとネットの修理情報を読んで再度トライしても良かったのですが、このテープ出ない問題でもう怖くてトライする気にならなくってしまいました。結局このテープの残り部分の再生も諦めることにしました。


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