ハードディスクの増設と引越し

2002/12/28


インターフェースと増設スペース

 ハードディスクは使っていると、なぜかすぐに容量が足りなくなるものである。これを「冷蔵庫の法則」とか言うらしい。いくら大きいものを買っても、どうしてもそれが一杯になるように食料品を買ってしまうらしいが、そのことを指している。1GB使っている頃は5GBもあれば十分と思い、8GBものハードディスクを購入して、さすがに当初はその大きさを持て余していたが、ちょっとマルチブートを始めたら、たちまち足りなくなった。そんな経験を皆さんも多かれ少なかれ持っているのではないだろうか。

 まあこんなことは、きっと永遠に続くイタチゴッコなのだろう。ハードディスクも安いのだからどんどん増設すればいい。しかしいざ増設をしようと思った時、ふとどうやったらいいのか分からないといった読者も多いのではないか。増設のために、何を考えないといけないのか、何を購入すればいいのか。

 まずはどういうインターフェースのハードディスクを増設するかを考えなければならない。

 今一番安価なハードディスクは、IDEインターフェース3.5inchハードディスクである。このハードディスクを増設するには、パソコン内部に3.5inchハードディスクを増設するスペース(空き)がなくてはならない。IDEのハードディスクは内蔵用しか存在しないからである。ミドルタワーのケースの場合、大抵は内蔵ハードディスク用に最低2つはスペースがあるが、ミニタワーケースやスリムシャシーの場合、予備のスペースはまずないであろう。ノートPCの場合、ハードディスクは2.5inchのものになるが事情は同じかもっと厳しい。最初からIDEハードディスクの増設などお話にならない。

 また単にスペースがあればいいだけではなく、ちゃんと3.5inchハードディスク用にこれを固定して取り付ける金具が装備されている必要がある。もっとも金具はないが、スペースがある場合はがんばって金具を自作するか、相当気分が悪いし、あまりオススメしないが、固定しないままつけてしまうという手もない訳ではない。

 さらにまだ問題がある。IDEインターフェースの口が開いている必要があるのである。IDEインターフェースはプライマリチャネルとセカンダリチャネルがあり、それぞれにマスターとスレーブがあって、都合4つ接続することができる。初心者向けにもう少し説明すると、チャンル単位にマザーボード側に口(ソケット)があり(つまり2つソケットがある)、ひとつのソケットに1本のケーブルでマスターとスレーブの2つのドライブを接続できる。IDEケーブルは2つのドライブを直列に接続するようになっているが、この接続位置(ソケットに近い方か遠い方か)によってマスターとスレーブが決まる訳ではなく、ハードディスクドライブのジャンパ設定でそのドライブをマスターにするかスレーブにするか決める。ただしIDEケーブルによっては2つ接続できないようなものもあるので気をつけよう。

 最近はCD-ROMもDVDもMOなどリムバーブルメディアが悉くIDEインターフェースになってきているので、もしかしたら口が空いていないかもしれない。ただ前述のように単にケーブルが2つ接続できないものであるために口が足りないということなら、これは市販の2つ口のケーブルを買ってくればいいだけだ。

 しかしインターフェース口不足の場合は、インターフェースの増設という強い味方がいる。IDEインターフェースカードを購入して増設することができる。これによってまた4つのドライブの増設が可能になる。IDEインターフェースカードは比較的安価(3000円くらい)なのだが、RAID機能を備えた若干高価なものもあるので、選択時に注意しよう。勿論がんばってRAIDを組んでみるのも面白いが、ここではその話はしない。

 但し、パソコン内部に増設IDEインターフェースカードを挿すスペースの問題は依然残ることになる。これもやはりスペースだけの問題ではなく、PCIスロットが空いている必要が絶対にある。これはさすがに自作も増設することもできない。スリムシャシーケースの場合、ロープロファイルのカードが必要な場合が多く、選択肢が若干狭まる。

 尚、IDEインターフェースは現在のPCの標準インターフェースであり、ブートストラップBIOSが必ず装備されている。そのためOSをここから起動できるという極めて重要な特徴も持っている。これは非常に重要な要素である。もし増設ハードディスクを単なるデータ用でなく、OSをインストールするつもりなら、インターフェースがブートストラップBIOSを装備していることは必須の要件となる。

 

 ドライブ増設のためのスペースがパソコン内部にない場合、外付けが可能な他のインターフェースを選ぶ他ない。もちろん外付けでもスペースは必要である。机の上が狭い場合、ちょっと苦しいかもしれない。でもこれくらいのスペースは何とか工面できるであろう。インターフェースの選択肢としては現在なら、SCSIUSBIEEE1394などである。

 SCSIは以前はかなり主流のインターフェースだったが、コンシューマ向けとしてはすっかり下火になってしまった。そのため普通は標準でパソコンに装備されておらず、別途SCSIカードを購入する必要がある。価格はピンからキリまであるが、やはり今ならUltraSCSIではちょっと役不足であろう。これ以上のインターフェースだと結構値がはる。

 またパソコン内部にSCSIカードを挿すスペースやPCIスロットの空きの問題あることはIDEインターフェースカード増設の場合と同じである。

 ノートPCの場合、逆にPCカードが使えるため、この点は楽だったりする。通常PCIスロット用のSCSIカードより、PCカード型のSCSIカードの方が値段は高いが、その分自由度はかなり高いことになる。

 ちなみにSCSIの場合は、ブートストラップBIOSで認識させることができるというIDEインターフェース同様の特徴がある。これにはブートストラップBIOSを搭載したSCSIカードを使う必要があるが、これによってそのハードディスクからOSを起動することができる。但しPCカードの場合は普通これはできない。

 またSCSIにはドライバの問題も残る。WindowsなどのメジャーなOSの場合殆ど問題ないが、マイナーなOSやたとえLinuxでも結構苦労することが多い。そもそもドライバが存在しないのである。Adaptecなどのメジャーベンダーのカードの場合ドライバが作成されることが多いが、その分高い。このあたりは価格とトレードオフになる。

 尚、SCSIインターフェースの場合、ハードディスクを内蔵するという選択肢も一応はある。

 

 USBは今やすべてのパソコンに標準装備されているといっていいメジャーなインターフェースになった。ホットプラグができるという周辺機器の接続には非常に便利な性質も持っている。しかしハードディスクとなると決してお勧めのインターフェースではない。まず現在の主流のUSBはバージョン1.1であり、インターフェース速度がたった1.5MB/s程度しかない。IDEインターフェースの主流がもはや100MB/sになり、133MB/sも登場している今日から考えると余りにも遅い。

 次のバージョン2.0はこれが60MB/sと飛躍的に速くなっている。IDEインターフェースには敵わないものの、それほど不足のある速度ではない。但しまだ主流になっておらず、今は特定のインターフェースカードを購入する必要がある場合が多く、SCSIの場合と同じ問題を抱えている。

 IEEE1394もほぼUSB2.0と同じ状況と考えていい。速度は若干IEEE1394の方が遅いが目くじら立てる程の差はない。やはりインターフェースカードを購入する必要のある場合が多い。ただしSonyあたり中心になって、多くのメーカーがかなりこのインターフェースに力を入れているので、標準装備されたパソコンは実は結構あったりする。Sonyなどではこのインターフェースをi-Linkと呼んでいるので注意が必要である(FireWireと呼ばれる場合もある)。

 USBもIEEE1394も現在BIOSでブートストラップすることができるものが殆どないので、このインターフェースで接続したハードディスクからOSを起動することができない場合が殆どである。

 
インターフェース 最大接続数 内蔵 外付け ブート 転送速度(MB/s)
IDE(ATA) 4 × 33〜133
SCSI 7 20〜160
USB 31 × × 1.5〜60
IEEE1394(i-Link) 63 × × 50

 


システムの引越しと単純コピー

 新しいハードディスクを増設する場合、日進月歩のコンピュータの世界である、大抵は以前のハードディスクよりも大容量で性能がいいものを購入することが殆どだろう。現在ハードディスクは容量が大きくなると読み取り速度などのパフォーマンスデータもかなり高くなっているものが多い。

 そうなると当然、この新しいハードディスクを単なるアドオンの増設ではなく、システム(OS)を導入してメインのハードディスクとして使いたいという要求が出てくることになろう。

 システムを導入するということは、当然そのハードディスクからOSが起動できる必要があり、前項で述べたようにブートストラップBIOSに対応しているインターフェースのハードディスクであるという前提条件は必須である。

 但し単にハードディスクのリプレース(交換)ということなら、今のハードディスクのスペースやインターフェース口を利用すればいいので、その点に関した様々な問題からは解放される。まあ今のハードディスクをデータ用として今後も使うといったことはあきらめねばならないが、スペースやインターフェース口がないのなら仕方がない。

 しかし多くの人は新しいハードディスクにシステムを導入するにあたり、新規にOSをインストールするのではなく、現在のシステムをそのまま移せないかと考えるだろう。OSをインストールし、いろいろと自分なりにカスタマイズし、たくさんのアプリケーションをインストールした現在のお気に入りのシステムをまた再構築するのはだれもがシンドイと思うだろう。特にメーカのプレインストールマシンの場合、そもそもどうやって再構築するのかすら分からない人も多いかもしれない。コピーしてそのまま使えたらいいなと思うのは当然の要求である。

 ここにシステムの引越しという作業が必要になる訳である。

 データをどこかからどこかへ移動するのには直接移動する場合と、何か別の媒体を介して移動する方法の2つがあろう。前者は別の媒体が必要がないという当然の利点があるが、一方で二つのハードディスクを同時に接続する必要があり、前項で述べたスペースやインターフェース口の問題は依然解決されなければならない。

 後者は移動対象であるハードディスク自体は同時に2つ接続する必要はないが、その別の媒体は、移動元のハードディスク、または移動先のハードディスクと同時に接続されている必要があるのは言うまでもない。もっともこの場合、その媒体にコピーする時はいいが、媒体からハードディスクにコピーする際にそれは一体どのOSを起動してコピーするのかという非常に重大な問題が残ってしまう。DOSの起動ディスクで立ち上げても長いファイル名がコピーできない。別のパソコンに接続してコピーするなどの方策をとる必要があり、パソコンがもしひとつしか無かったら事実上不可能と言わざるを得ない。

 いずれにしても接続の問題は避けて通れないので、前項でよくその点を考察してほしい。

 接続の問題がクリアできたら次はシステム引越しの具体的方法を考える必要がある。多くの初心者はエクスプローラで単純にコピーすればいいと思うかもしれない。しかし現在動いているシステムをコピーする場合実は話しが簡単ではない。

 システム稼動中は触ることができないデータが存在するからである。しかしこれもWindows9xの場合、システムディレクトリにあるスワップファイル(システムディレクトリ\win386.swp)のみである。これだけを外してコピーすれば、問題なくコピーできる。このファイルは無くても、システム起動時に自動的に作成される。

 従ってWindows9xやDOSのシステム引越しは極めて簡単である。エクスプローラですべてのファイルを表示するように設定し、先に移動先にWindowsディレクトリを作成する。引越し元のWindowsディレクトリに入り、スワップファイルを除いたすべてのファイルを選択して、移動先のWindowsディレクトリの下にコピーする。そのほかProgram Filesディレクトリなどのドライブ直下のディレクトリはそのままいっぺんにコピーしてしまえばいい。

 しかしWindowsNT/2000/XPなどのWindowsNT系OSの場合、単純コピーは格段に難しくなる。システム稼動中に触れることのできないデータが遥かに多いからである。しかもそれがコピーしなくてもいいデータではないから厄介である。

 結局現在稼動中の自分自身のコピーは不可能である。ではどうするのか。幸いNT系OSはマルチブートが簡単にできる。そこでもうひとつシステム引越し用のシステムをインストールするのである。勿論別ドライブにインストールする必要があるので、ここでも別の物理ハードディスクを接続できるか、またはインストール用に別のパーティションが存在しなければならないという問題が起こる。

 もしこの要件をクリアできるなら、この方法は大変便利である。特別なソフトも必要なく手軽にできる。接続形態によっては直接コピーしてもいいし、別の媒体を介してもいい。

 ただし2つの注意が必要である。ひとつはシステムのファイルシステムがNTFSの場合である。セキュリティを強化するために特定のフォルダやファイルに特定のローカルユーザのみのアクセス権を与えている場合、そのフォルダは別のシステムから触ることができない。

[特定ローカルユーザのみにアクセス権があるフォルダ]

 このようなフォルダやファイルがある場合は、一旦最低でもAdministratorsグループのアクセス権は付与しなければならない。

[Administratorsグループのアクセス権が付与されたフォルダ]

 またアクセス権を付与するだけでなく、その権限内容としてフルコントロールにしておいた方がいい。実際は読み取り権限があればいいと思うかもしれないが、書き込み権限がないとコピー先で問題が起こる。

 もうひとつの問題点は、Windows2000の場合、システムを別のハードディスクにコピーするとコピー先で正常に起動できない場合があるという問題である。事象や詳細はWindows2000の重大バグに譲るが、パーティションの構成などは決してコピー元とコピー先で変更してはいけない。アクティブ属性なども注意してほしい。さらにMBRのシグニチャもできればコピーしたいのだが、これは難しい諸氏が多いと思うので、せめてコピー先にあらぬMBRシグニチャがないようにしておきたい。通常は新しいハードディスクならMBRなどないと思うが、以前一度WindowsNT系OSをインストールしたことがある場合、パーティションを削除したとしても、MBRシグニチャが残っている可能性が高い。これはWindows9xの起動ディスクなどで起動して、FDISK /MBRというコマンドを実行することで消すことができる。

 


UNIXシステムのコピー

 尚、UNIXシステムの場合は、ddというコマンドがあり、パーティションやハードディスクのイメージをそのままコピーしてしまうこともできる。またイメージでコピーしてしまうので、ファイルシステムを問わないため、Windowsシステムのコピーにも利用できる。これについてはまだ検証中なので、また後日報告する。

 


イメージソフト

 接続の問題がクリアできず、同時にハードディスクを2つ接続できないとか、引越し作業用の別システムをインストールするスペースがないとか、とにかく前述の方法は難しそうなので不安だという諸氏には、やはり市販、またはシェアウェアのイメージソフトを使うことをお勧めする。定番ソフトは次のようなものがある。

  1. Drive Image (PowerQuest開発、ネットジャパン販売)
  2. Drive Copy (PowerQuest開発、ネットジャパン販売)
  3. Ghost (Norton開発、シマンテック販売)
  4. Washファミリー(昇太&Miyoko

 Drive ImageGhostは、引越しソフトというよりはバックアップソフトである。ハードディスク、またはパーティションのイメージをそのままバックアップできるのでシステムのバックアップには非常に便利である。このバックアップ機能を使ってシステムの引越しをしてもいいし、ダイレクトコピーの機能もあるのでそれを使ってもいい。

 これらのソフトはバックアップソフトとして非常に優れている。NTFSで運用している諸氏やLinuxシステムを使っている諸氏は持っていて全く損のないものである。システムの引越しの際に購入しても後悔することはないだろう。因みに私はDriveImageを使っている。システムが異常をきたし、起動すらしなくなっても、ある時点のバックアップを復元すれば、何事もなかったようにシステムの復旧ができてしまう。この安心感は一度手に入れると病み付きになる。CD-Rへの直接バックアップなどもできて、機能はますます充実してきた。

 対応ファイルシステムはそれぞれのツールのホームページで確認してほしいが、セクターコピーだけならddコマンド同様ファイルシステムを選ばないので、あらゆるシステムに適用できるはずである。対応ファイルシステムなら圧縮することもでき、バックアップとしては非常に便利である。いずれも実売価格は1万円ちょっとで、非常にお買い得なツールであると思う。

 Drive Copyは、DriveImageの廉価版でありバックアップソフトではない。これこそ引越しソフトである。廉価版ということでDrive Imageの半額くらいだが、私の個人的意見としてはこれを買うくらいなら、Drive Imageを買ってしまった方があとあとずっといいと思う。機能的にはコピーに過ぎないので、ハードディスク同時接続などの要件は単純コピーの場合と同様である。

 Washファミリーはシェアウェアで、派生品がいくつかあるので目的によって使い分ける必要がある。ドライブコピー用のwashd、パーティションバックアップ用のwashpなどがシステムに引越しには使える。価格が安い(それぞれ2000円)ので両方購入してもその機能を考えると決して高い買い物にはならない。
 

 いずれのソフトにも共通していえることが、基本的にDOS上で動作するということと処理が非常に高速だということだ。

 システムを言わばその外側から扱うので、起動ディスク(DOS)などから使えないと障害時は意味がない。以前はこのDOSから使うという性質からバックアップ先にMOなどを選ぶ場合、高度なDOSの知識が必要となるなど、かなりユーザを選ぶソフトだったが、今はそうした環境の構築支援機能もあり、初心者でも比較的安心して使える。DriveImageなどはバーチャルフロッピーという機能を利用して、起動はWindows2000/XPからもできるようになっている(実際はDOSが動くが)。

 もちろんDOSを持っていない人のために、フリーのPC-DOSを同梱しているので、Winodws9xなど持ってないという人も困ることは無い。

 またセクターコピーということでハードディスクにシーケンシャルにアクセスできるため、その処理が非常に速い。1GBあたり5分くらいで、バックアップも復元もできてしまう。勿論バックアップ先がMOやCD-Rなどの場合、その書き込み速度に依存するため、かなり処理速度が下がるが、それでも結構速い。

 この手のソフトは一度使うと手放せなくなる。残念ながらフリーソフトでは満足なものはない。これを機会にひとつ購入してみることをお勧めする。システムのフルバックアップがもたらす安心感は非常に捨てがたいものである。

 


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