ベースクロック100MHz


ベースクロック100MHz時代到来

 ついにベースクロック100MHz時代がやってきました。予想通りSocket7が先行しましたが、Slot1もすぐに追いつきましたね。それどころか早々と沢山のマザーボードが揃い、対応CPUも登場して、いきなり100MHz本番という感じになってしまいました。Socket7は完全に出遅れた感がありますね。いったいどのような塩梅なのか、まだ情報がはなはだ少ないですが、雑誌の記事や人柱先生がたの情報をもとにちょっとだけ検証してみましょう。

 


2次キャッシュが着いてこない

 私はベースクロックのアップは、2次キャッシュのためだと再三述べてきました。従って2次キャッシュが依然ベースクロックのみに支配されているSocket7にとっては大変効果的であるはずだと言ってきました。いくつかの雑誌のテストが人柱殿のテスト結果は、いずれもこのことを証明していました。よってSocket7派の人は積極的に導入を検討してもいいと思っています。しかし一部のマザーボードで100MHzが動かないという事態になっています。

 まず一番大きいのは2次キャッシュが着いてこないものがあるということです。この結果には私も愕然としました。確かに2次キャッシュは比較的高価な部品です。特にPentium-IIに搭載するための150MHzや200MHzで動ける2次キャッシュは非常に高価で、これがPentium-IIを高くしている理由なわけですが、パイプライバーストSRAMが登場し、2次キャッシュが66MHzに同期できるようになってから2年半。100MHzくらいのものなら安価に何の問題もなく供給できるであろうと思っていました。しかも100MHzと銘打っているマザーボードに、この期に及んでそんな2次キャッシュと供給するとは、マザーボードメーカーもメモリベンダーも怠慢といわれても仕方ありません。

 まあそのようなマザーボードは、ロットが変わって早速メモリモジュールが交換され、この問題はほぼ解決されたようですが、市場には当然初期ロットが残っている可能性があるので、購入する人は十分に気を付けて下さい。情報が出そろうまで、後1月は買えないなというのが実感ですね。

 


PCI非同期に問題あり?

 次にSCSIなどがうまく動かないという報告がされています。あれっ、PCI非同期はどうしたの?っ思う人が多いでしょう。確かに昔のPCI同期の場合、PCI部品に不都合が起こるのは当たり前でした。それがオーバークロッカー達の最大の悩みであった訳ですが、100MHz時代のは同期50MHzに到底PCIが着いてこれるはずがないので、非同期が当然のごとく採用された訳です。ではどうしてSCSIが動かないのか。これは非同期がうまく動いていないとしか考えられません。

 驚いたのはこのような報告を平然としている雑誌のテスター達です。SCSIが動かないなんて大変なことですよ。どうしてこれをきちんと検証しないのか。一応テスター達は、CPUがまだ100MHz対応でないからだと分析しています。私は九分九厘CPUのせいではないと思います。CPUが100MHz非対応であることが、ベースクロック100MHz動作に影響する可能性は当然あります。しかし基盤のあるPentium-IIと違ってSocket7の場合、CPUの問題は非常に小さいといえます。ベースクロックが66MHzになったばかり頃ならいざ知らず、自分自身が既に233MHzや266MHzで動いているCPUが、元になる外部クロックが1.5倍になったために突然不都合が起こるという可能性は、尚皆無でないにしても極めて低いと考えます。

 CPUによって問題が起こるとしても、メモリアクセスあたりに出てくるはっず。IDEは動いて、SCSIはだめだとう場面などは、チップセットの、特にPCI関連の問題としか思えません。また逆にSCSIはよくて、IDEがだめという場合も報告されています。やはりPCIがだめそう。そうすると勢い非同期がおかしいのでは?と推察する訳です。

 しかしこのような問題が起きているマザーボードは一部ではあります。多くはバリバリ動いているという報告がされています。リビジョンが上がれば改良も進むでしょう。とにかく人柱になりたくない人はまだ様子をみた方がいいでしょうね。

 


Slot1はやはり

 さてSlot1はどうでしょう。つまり440BXです。4月15日に一斉に出てきましたが、テスト結果によると私の予想が見事に的中しています。ほとんど440LXと変わらないようですね。100MHz時代を声高に騒いでいた連中が青ざめているのが目に浮かびます。まあ当然です。2次キャッシュがベースクロックのみに左右されないSlot1には100MHzの恩恵はAGPだけです。残念ながらまだバリバリの3Dゲームのテストは見てませんが、これは再三言うように効果があるはずです。

 という訳で、440LXを持っている方で3Dゲームをされない方は、まったくBXにアップグレードする必要はありません。もちろんこれからSlot1へ移行される方は、何も古いものを買う必要もないので、どうぞ440BXをご購入下さい。その場合でも、まだ異常に高いPC100規格対応のSD-RAMを購入する必要はないと思います。現在通常の10ns品の3倍もします。これを導入しても3倍の効果は絶対ありません。

 難しいのは440FXを使っておられる方ですね。たぶんLXの登場の時も迷ったと思います。あの時もパフォーマンス的には大した変化はありませんでした。今と同じ状況です。速くなったのはSDRAMが使えて、メインメモリが少し速くできただけ。でもAGPやUltra-ATAなどの新しいアーキテクチャに対してはうらやましいと思った方も多いでしょう。まあ潮時でしょうか。SDRAMもLX登場時と違って全然安いですし、さすがにFXと比べれば、BXはそれなりのパフォーマンスアップを与えてくれると思います。

 


メモリをどうする

 先ほどPC100対応品は異常に高いからやめとけと言いました。これも場面を分けて考えましょう。

 まずSocket7の場合は、とにかく2次キャッシュの効果だけでも絶大なので、無理にメインメモリまで追従させる必要はありません。従来品でいいと思います。ただこの場合ベースは100MHzを諦めるかと言えば、当然そんなことをしてはいけません。それでは全く本末転倒で、大事な2次キャッシュのパフォーマンスアップができないですから勿論ベース100MHzでいきます。では100MHzに追従できない従来のSDRAMはどうするかと言えば、とりあえずウェイトを入れるのでしょう。これで大抵は動くはずです。またMVP3はメモリはベースクロックとは別にAGPに同期させる、つまり66MHzで駆動する設定がありますから、100MHzでウェイトを入れるよりは、66MHzでウェイトなしの方が安定すると思います。

 Slot1の場合も、とにかく初めてのPentium-IIだからというのなら、別に従来品でもいいとは思います。ただしこうなると、はっきり言って、全く440LXと変わりなくなってしまいます。また3Dのためにという方は絶対にPC100対応でないと意味がありません。とは言え3倍というのは高すぎますね。

 ただすぐに安くなるのではないかと期待しています。理由は従来品でも100MHzで全然動かないのは一部であり、中には完全に動くものすらあり、100MHz対応は決して特別に費用がかかるような難しいことではないと思うからです。今の異常な高さは単なる数の少なさからきているような気がします。早晩各メモリベンダーが出荷してくるはずで、そうなれば一気に従来品の価格に落ちてくるはずです。

 実は440BXの登場にあわせてPC100対応品の価格が暴落するという情報もあります。もう今ごろは秋葉で暴落してるかも。

 


100MHz時代のオーバークロック

 おっと、このページはCPUのオーバークロックのページでした。ちゃんとオーバークロックの話もしないといけませんね。

 オーバークロッカーにとってうれしいのは、ベースクロックアップが、100MHz時代も引き続きできそうだと言うことです。何しろ66MHz時代は、75MHzや83MHzにして楽しんでいた訳ですが、標準が100MHzになってしまては、どうなるのかという危惧がありました。しかしやっぱりというか当然というか、あるではないですか、112MHzとか133MHzとかいったベースクロックが。まあ当面はとてもメモリや2次キャッシュが着いてきそうにないですが、いずれ楽しめそうですね。メモリはウェイトを入れることで逃げるとしても、2次キャッシュはなんとか追従させたいものです。当然搭載する2次キャッシュのモジュールによるはずなので、マザーボードによる違いがかなり出てくると考えられます。これからは搭載する2次キャッシュモジュールのメーカーや型番まで気にする時代になりそうです。

 一方のオーバークロッカーの最大の敵?「リミッター」に新種のものが現れています。440BXではチップセットがCPUから動作周波数情報を取得することができるそうです。その情報に従って倍率を制限してしまおうという訳です。参りましたね。まあこんなことをするのはIntelのチップセットくらいでしょうし、マザーボード側でインプリメントするかしないかも決定できる訳で、そう大きく我々の前に立ちはだかるとは思えませんがね。

 いずれにしてもPCIの問題からは解放されても、オーバークロックのために収集しなければならない情報の量は一向に減る気配を見せんません。戦いはこれからも続くのである。


ベースクロック66MHz時代

 方法編で「長らくベースクロック66MHz時代が続いたのはメインメモリのためだ」と書きました。ベースクロックの重要な供給先であるメインメモリがいつまでも66MHzに追いつかないため、上げる必要がなかった訳です。

 しかしやはり方法編で書いたようにもう一つの重要なベースクロック供給先である2次キャッシュは2年以上も前に66MHzに同期できるようになったのですから、なぜこのことがベースクロック突き上げの圧力にならなかったのでしょうか。このことを調べる前に2次キャッシュの登場の経緯を見てみましょう。

 


2次キャッシュの登場

 ベースクロックはもともと殆どのパソコンの部品を動かすクロックでした。つまりCPUもチップセットもメモリも同じ一つのベースクロックという周波数で動いていたのです。しかしその後各部品の性能向上は一様には進みませんでした。メモリがまず取り残され、やがてチップセットもCPUに水をあけられてしまいます。これはある意味しかたのないことでした。CPUに比べてメモリもチップセットも制約が多すぎたからです。

 でもCPUはそれに付き合っている必要はない訳で、ベースクロックを自ら倍化することで対処し、一方遅いメモリに対してはチップセットが待つことで対処しました。今純粋にベースクロックで動いているのはチップセットくらいになってしまいました。

 既にCPUとメモリの速度に差がついてきた時点でCPUのメモリ待ち(メモリウェイト)は問題にならなかったのでしょうか。もちろん問題になりました。そこでメモリからデータがなかなか来なくてもCPUの処理が滞ることないようにと考案されたのが「キャッシュ」という技術です(「キャッシュ」とは「cache」と綴り、「現金(cash)」ではなく「隠す」という意味です)。

 そもそもメモリが遅いといっても、それは要求される価格と容量を満たすと遅いものしか使えないという意味で遅かったのです。金に糸目をつけなければ極めて速いメモリが無かった訳ではりません。もっとも高くて速いメモリは大きさもとても大きくて大容量には面積も要求しました。つまり極小容量なら価格的にもスペース的にも折り合いがついたのです。

 そこでCPUの中に少しだけど、ものすごく速く読めるメモリを配置して、一度読んだデータを「隠しておき」、つぎに同じデータならそこから取ってくるようにしたらどうかというとことが考え出されました。この隠すデータの選び方や配置のしかた、取り出し方など(キャッシュのアルゴリズム)を工夫すれば、少量でも結構役に立つのではないかと考えた訳です。実際、ことのほか効果的でしたから、CPUには無くてはならない技術にその後なっていきます。

 しかしその後ますますCPUは速くなり、その内部にあるキャッシュメモリとメインメモリの差は開くばかりでした。一方でメインメモリはOSの発展でどんどん大容量を要求され、事実それに応えていきます。しかしCPUの速度と共にその速度が上がる内部キャッシュはその速度向上ゆえの価格の問題でも、またCPU内部というスペースの問題でも容易にその容量を増やすことは出来ませんでした。この速度と容量の開きは結局キャッシュの有効性を低下される原因になってきたのです。

 そこでこのスッカリ差のついてしまったキャッシュメモリとメインメモリの間にもう一つ速度的にも容量的にも価格的にも中間的なキャッシュを置くべきだということになった訳です。これが外部キャッシュ(別名2次キャッシュ(Level2 Cache)。これに対してCPU内部キャッシュは1次キャッシュと呼ばれる)です。

 


パイプラインバーストSRAMの開発

 上記の経緯から、2次キャッシュには、そこそこ速く安くて結構容量も積めるものが要求されます。速くするためメインメモリに使われるDRAMではなくSRAMが使われた訳ですが、それでも安くて大容量となるとあまり速い高価なセルは使えません。結局66MHzには同期できない程度のSRAMセルが使われました。(それゆえ非同期SRAMと呼ばれる)結局中間的とはいえ明らかにメインメモリ寄りの性能で、必ずしも2次キャッシュを搭載しても劇的に性能が上がるということではなかったのです。

 しかしその後パイプライン動作バースト転送をサポートしたパイプラインバーストSRAMが開発されます。パイプライン動作とは、処理を複数のステージに分けて流れ作業的に行っていくことで、処理のトータルでは時間がかかっていてもアウトプットは短時間で次々に出てくるといったものです。またバースト転送とは簡単に言えばまとまったデータを一度に処理するといったニュアンスです。これにより遅いSRAMセルを使っても(つまり安価に)事実上同期SRAMセルを使った場合と大差ない性能が発揮できたのです。

 これで俄然2次キャッシュが重要性を帯びてきました。しかも66MHzに追いついてしまったのですから、ベースクロック上昇の圧力になるかに見えました。ところがIntelは全く別の方法でこの注目の2次キャッシュに対応してきたのです。

 


2次キャッシュの内蔵

 Intelの回答は2次キャッシュのCPUへの内蔵でした。アクセスはCPUのクロックと同期して行われます。これがつまりPentium-Proです。ただこれでは1次キャッシュと同じではないかと思われる方もあるでしょう。しかしCPUへの内蔵といっても完全にCPUコアに内蔵している訳ではなく、隣接しているというイメージでしょうか。少なくともプリント基板上の別のパッケージではありませんが、ピンのついた別のモジュールです。

 アクセスのアルゴリズムなども1次キャッシュとは違うので同じCPUクロックでアクセスするといっても速度はかなり遅くなっており、当然要求される性能も1次キャッシュよりは断然低いもので済みます。また別モジュールであるためスペース的な制約も1次キャッシュよりは遥かに緩いものです。とはいえ66MHzから一気に150MHzなどにあがった訳ですから、効果もすごかったですが、価格の方も大部苦労したでしょう。

 Intelとしては2次キャッシュを非常に重視した訳ですね。しかし一方で結局Intelのこの選択により、ベースクロック向上の気運は再び頓挫してしまうことになります。話をベースクロックに戻す前にもう少しPentium-Proのメモリバスアーキテクチャの話をしましょう。

 2次キャッシュの内蔵によりPentium-Proのメモリバスアーキテクチャは大きく変更されることになりました。それまでのPentiumとは違い2次キャッシュのアクセスにチップセットを介しないことになります。2次キャッシュはCPUが直接アクセスするのです。このことはクロックがCPUと同じになるということと並んで、以前のPentiumメモリバスアーキテクチャに対する大きなアドバンテージになります。つまりCPUから見ると2次キャッシュとメインメモリを同時にアクセスできるのです。

 もちろん同時アクセス可能により、双方ともより速く読めるということが重要なのですが、それだけでなく遅いメインメモリの影響を速い2次キャッシュが受けることがないというメリットもあります。このメリットも重要なのでよく覚えておいてください。

 


内蔵の放棄

 2次キャッシュを内蔵して性能は格段に向上しました。全てがばら色かに見えたのですが、ここで大きな落とし穴が待っていました。やはりかつてメモリとCPUがその性能向上において差がついてきたようにCPUコアと2次キャッシュにも性能向上の歩みの差が出てきました。既にCPUコアは安価に200MHzを達成できるようになってきたのに、2次キャッシュは依然高価で容量は256kBytesを積むのがやっとでした。512kBytesなんか積むと高くてPCユーザが気軽に買えるような値段で供給することはできません、ましてや200MHzを超えるようなものはとても作れなかったのです。CPUコアは200MHzを超えられるようになってきたのに、ここへ来て内蔵してしまった2次キャッシュによって足を引っ張られることになります。

 ついにIntelは2次キャッシュの内蔵を断念することになります。こうして登場するのがPentium-IIです。ですから当初このレベルダウンが随分指摘され、Pentium-IIは結局Pentium-Proより性能が落ちるのではないかと言われました。しかしそうではありませんでした。Pentium-IIは2次キャッシュを外に出したとは言え、以前(Pentiumメモリバス)のようにチップセットの向こうまで追い出した訳ではありません。2次キャッシュの操作に「チップセットを介さない」というPentium-Proメモリバスアーキテクチャは保ったのです。Pentium-IIがPentium-Pro同様440FXが使えたのもこのためです。

 2次キャッシュはCPUコアの極近くに置かれ、CPUが直接アクセスできます。またクロックも折衷案とでも言うべきCPUクロックの半分で駆動することにしましたから、性能をあまり下げないでも安価に512kBytesを搭載できるようになり、一方でCPUコアはクロック上げの余裕ができたのです。この半減程度に低下に止めた周波数はもとよりメモリバスアーキテクチャを保ったことも性能低下にならなかった大きな原因でしょう。

 Intelのこの選択は私は正解だと思います。やはりパソコンの部品はそれぞれにその時代においてもっともコストパフォーマンスの高い性能というのがあります。バランスのいい部品構成をするには、できるだけそれぞれが独自にチューニングできるようになっていた方がいいはずです。私はこの内蔵放棄を「前進」と受け止めてもいいと思っています。まあベースクロックからすれば、ここでもまた突き上げの圧力から免れることになった訳ですが。

 


メインメモリの追撃

 もちろんIntelにはSocket7であるPentiumがまだあります。これは依然ベースクロックに支配された2次キャッシュをもっており、ベースクロック上昇の必要性をもっています。しかしPentium-Proなどで2次キャッシュに対し明確は答えを出しているIntelとしてはパフォーマンスはこちらで、というスタンスになっても仕方の無いところでしょう。やはり既にパフォーマンス的にはSocket7を見捨てていると思います。

 そうこうしているうちについにメモリが66MHzに追いついてきました。Synchronous-DRAMの登場です。ベースクロック突き上げの真打登場といきたかったところですが、方法編でも述べているように2次キャッシュのアルゴリズムの向上により、今のところメインメモリの比重がとても低下しています。2次キャッシュがベースクロックだけに左右されなくなったSlot1にとっては、システム的にはあまり目くじらたててあげなければならないほど重要なことではなくなってしまいました。方法編で紹介した雑誌のベンチマークテスト結果はこのことをよく説明しています。ではどうしてIntelはここへ来て結構労力のいるベースクロック100MHzに踏み出そうとしているのでしょうか。

 


AGPの登場

 結論を先に言えば、それはAGPのためです。AGPは何と言ってもビデオメモリにメインメモリを使うのが本当の目的です。3D表示の中心的な技術であるテクスチャーマッピングは大量のテクスチャーデータを必要とします。しかしそのためだけにビデオメモリを積むのも無駄です。メインメモリを使えるとコスト的に大変助かるわけです。ビデオチップがメインメモリにアクセスするためにまずクリアしたいのが、とても遅いPCIバスから卒業したいということでした。これをAGPは実現した訳です。

 ボトルネックだったPCIから卒業した今となっては今度はその肝心のメモリが遅く感じられてしまった。今度はメモリがボトルネックになったのです。しかしメモリ自身はSDRAMの登場でもっと速くアクセスする環境は整いました。ではアクセスする側のチップセットが遅いじゃないか、つまりベースクロックが遅いぞということになってきた訳です。AGPを強力に推進しようとしているIntelにとってこれは忌々しきことであります。Intelがそれをシステム的には特別必要としないSlot1で、ベースクロック100MHzを実現しようとしているのはこのためなんです。

 ただ残念ながら今この技術が生かせるのは3Dゲームくらいです。つまりAGPが必要な人は3Dゲームをやる人、結局Slot1でベース100MHzが必要なのも3Dゲームをやる人だけということになります。ですからそうでない人たちは440BXが出たときに無理してすぐさまグレードアップする必要はありません。BXが出たら、当然各雑誌がベンチマークテストを行うでしょう。その時、あまりにも性能の差がないのにきっと皆驚くことになります。これは断言できます。Pentium-IIの場合、慌てて100MHzを導入する必要は全然ありません。

 ただし3Dゲームばりばりのそこのお兄さんには十分意味があります。3Dゲームでテクスチャーが足りなくて、色がはげてしまったのを見たことのある人は一人や二人ではないでしょう。また3Dは今後3Dゲームだけのものではなるなるはずです。PCはどんどんリアルになってきています。我々の現実の世界である3Dにすべてのアプリが近づいてくるのは必至でしょう。

 もちろん3Dだけでなく、メインメモリが速いということは別に無駄なことではありません。現在は2次キャッシュが有効に働いているので、メインメモリの比重が低く、ボトルネックになりにくいですが、CPUがより速くなり、メモリが多くなれば、また問題になってきます。メインメモリの速度向上の努力を怠る訳にはいきません。ただし今すぐにというほどではないという話です、あくまでも。

 


Socket7の場合

 Socket7の場合はもちろん今でもベースクロックアップの効果は大変高いです。再三述べてきたように2次キャッシュが今でもベースクロックに支配されているからです。本当に100MHzが必要なのはSocket7であるし、多少でもSlot1と戦っていくなら絶対クリアしたい問題である。しかしIntelは既にSocket7にパフォーマンスを求めようとしはいないと述べた。

 他のチップベンダーはどうなのか。Triton以来すっかりチップセットまでIntelにしてやられていたチップベンダー達もIntelが急激にSlot1にシフトしたせいで、Socket7に活路を見出したのか、やけに元気がいい。この元気なチップベンダー達のおかげで、本当に必要とされるところにベースクロック100MHzが導入されるのは喜ばしいことである。

 やはりベースクロック100MHzはSocket7が真打といえるだろう。結局実現もどうもSocket7の方が早そうである。これを読んでいる人の中には既に100MHzのSocket7 M/Bを持っている人がいるかもしれない。

 後でも述べるが、たとえベースクロック100MHzを達成してもSocket7がSlot1と絶対性能で戦っていくのはつらい。しかしコストパフォーマンスはやはりSocket7という気がする。もちろんCPUもチップセットも互換メーカーのものを選らんだ場合だが。とにかくK6や6x86Mxは依然高いコストパフォーマンスを持っています。VIAやSiSやALiのチップセットを搭載したM/Bはとても安いものが多いです。そのくせ実は大変パフォーマンスもいい。AGPだけでなくIntelが全く手を付けていないDDR SDRAMまで対応している。最大メモリ搭載量、最大2次キャッシュ搭載量、キャッシュブルエリアなど重要なところをIntel以上にしっかり押さえたものが多い。さらにBIOSチューニングといったものによる違いもでやすい。ショップブランドですらIntelを、さらにはSlot1を選択してしまうこの頃こそ、Socket7と互換メーカー品というのが最高に面白そうだと思います。

 


それでも速いPentium-II

 ベースクロックアップの効果がないPentium-IIは、だからといってベースクロック100MHz時代はパフォーマンス的に不利であるという話では全然ない。今までの説明をちゃんと理解して読んでいてくれれば、今更確認する必要もないはずですが、Slot1はある意味ベースクロック100MHzなんて全然眼中にないほどその先をいっている訳です。考えてみればSocket7はベースクロックを100MHzにしてみても、その2次キャッシュの速度はPentium-II 233MHzにもかなわない。Pen2は233MHzで既に117MHzで2次キャッシュをアクセスしています。300MHzに至っては150MHz。その上再三申し上げたようにメモリと2次キャッシュを同時にアクセスできるバスアーキテクチャを持っています。

 結局Socket7はベースを100MHzにし、Slot1が66MHzのままだとしても、これに追いつく見込みはありません。さらにCPUクロックに比例して2次キャッシュが速くなるSlot1との開きはCPU周波数が高くなればなるほど開いてくる訳です。どうしても最高のパフォーマンスをという人は依然Pentium-IIを選択していくことになるのでしょう。

 一部ベースクロックを上げればSocket7でもSlot1を凌駕できるというような幻を追っているバカがいますが、そんなバカを相手にするのはやめましょう。

 


また2次キャッシュ内蔵?

 ただし今年の後半は分かりません。AMDCyrixのCPUに2次キャッシュ内蔵の計画があるからです。しかし内蔵と聞くとさっきのPentium-Proのことが思い浮かぶでしょう。結局Pentium-Proと同じてつを踏むのではないかと誰もが思うはずです。もっともAMDなどがPentium-Proの失敗を知らないはずがなく、本当に導入するなら何か秘策があるとしか考えられません。特に我々をがっかりさせるような誤魔化しで導入するのではなく、普通に考えられるような形で2次キャッシュを内蔵してくるのなら、Slot1を絶対パフォーマンスで超えるのは必至です。Cyrixの方は正式なものではないようですが、AMDの方は正式にアナウンスされており、搭載量も256kBytesと具体的。更にオプションで外部キャッシュである3次キャッシュMBytes単位で持つという。

 一方Intelも黙って見てはいない。既にSlot2は内部2次キャッシュが搭載されるとアナウンスされている。Pentium-Proの失敗を繰り返さない秘策があるのだろうか。もっともIntelとしてはSlot2は、サーバー用途の超ハイエンド用にと言っている。コンシューマ向けとしてはあくまでもSlot1で行くと言っており、その関係からSlot2はサーバー用に特化して、価格を犠牲にして性能を追求してくる可能性がある。とすると純粋にPentium-Proのように内部に2次キャッシュを搭載するだけかもしれない。

 とはいえIntelはPentium-Proの時も同じことを言っていた。これはサーバ用だと。しかし実際は一所懸命にパソコンに載せてもらおうと頑張っていた。でも結局だめでPentium-IIへ逃げたという経緯からすると、Slot2もコンシューマ向けに売り込もうとする可能性がある。それならば当然価格は重要だ。AMDなどが低価格で2次キャッシュ内蔵を実現するなら、Intelとしてもたかをくくっているわけにはいくまい。

 


PCIバスクロックの問題

 ベースクロック100MHz時代は、PCIバスクロックの問題からは解放されると、以前私は言った。しかしこれは間違いであった。依然PCIバスクロック上昇による不具合から解放されないのである。  私がベースクロック100MHzの場合、PCIバスクロックの問題が起きないと考えたのは、「PCI非同期」が一般化すると考えたからである。それは非同期にできないとPCIが50MHzにもなり、到底追従できないので、チップセットもマザーボードも当然「PCI非同期」をサポートするはずで、それによって永遠にPCI問題から解放されると考えた訳である。しかし事情は違った。下にAOpen AX59Proの場合の外部クロックとPCIバスクロックの関係を表にしてみた。

 
外部 60 66 68 75 83 90 100 112
PCI 30 33 34 37 28 30 33 37

 このマザーでは外部を上記のように設定するとPCIが自動的に表のような周波数になる。やはり112MHzに外部を上げるとPCIは37MHzに上昇してしまう。このマザーには無いが440BXマザーの一部には外部133MHzという設定があるが、この場合はPCIが44MHzにもなり、66MHz時代の関門であった外部83MHzの時のPCI 41MHzよりも高いのである。これを一体「PCI非同期」と言えるのか。

 しかしそもそも「PCI非同期」の定義が曖昧だったような気がする。厳密に言えば外部66MHzの時も、完全に「同期」だった訳ではない。半分の33MHzがPCIバスクロックだった。しかし外部が75MHzになれば、PCIが37MHzになり、外部が83MHzになれば、PCIが41MHzと、外部に「連動」していたので、このような状態を習慣的に「同期」と表現してきたのである。そして本来の「非同期」とは外部とは全く無関係にPCIバスクロックを決定できる場合を指していた訳である。従って「同期」「連動」と言いかえるべきである。

 しかし実際は完全に外部と無関係なPCIバスクロックの設定をサポートしたチップセットもマザーボードも存在した訳ではなかった。せいぜい「同期」がPCIは外部の「半分(2分周)」と決まっていたのに対して、もう少し融通がきいた程度である。つまり「非同期」と言われたものも、ある程度は外部と「連動」はしていたのである。つまり66MHz時代「PCI同期」といった場合、「PCIは外部の2分周」であり、「PCI非同期」「それ以外」という大雑把な使い分けもまかり通っていたように思える。これは先の「同期」イコール「連動」とは大分違う話になる。

 もし後者に従えば、現在の100MHzチップセットやマザーボードも「PCI非同期」である。2分周のほかに「3分の1(3分周)」もサポートしているからである。しかし前者の方式なら「同期」ということになる。

 そもそも外部クロック上昇により何がPCIに問題を起こしたのか。取りも直さずPCIは33MHzと仕様できまっている周波数が外部クロックに「連動」して上昇してしまうことであった。つまり「連動」に問題があるのである。従ってオーバークロック時にPCIの問題から完全に解放されるには、「PCI非連動」がサポートされなければならない。

 では本当に「PCI非連動」など可能なのだろうか。それはノーと言わねばならない。コンピュータが動く上でタイミングをとるクロックは非常に重要だ。特にチップセットはコンピュータの中で要であり、そのチップセットにとって「PCIの操作」は非常に重要な役割の一つである。それが自分と全く無関係なタイミングで動いていたのでは、どうして操作することができよう。完全な「PCI非連動」は不可能と考えていい。

 ではPCIの問題はどうにもならないのかというとそうではない。完全な「非連動」は無理でも、不完全な「非連動」なら十分可能である。内容的はどちらかというと「融通のきく連動」といった方がいいかもしれない。現在の100MHzは言わば「ちょっと融通のきく連動」であると私は思う。つまり66MHz時代のように2分周のみの他に「3分周」もサポートして2段構えなので、100MHzでもPCIに50MHzではなく33MHzが供給できるという「ちょっと融通がきいている」訳である。

 これを拡張していけばいい。「整数分周」ならタイミングは十分取れるはずである。「実数分周」のサポートは事実上「非連動」になるので難しいと思う。現実には2.5分周などの設定を持ったマザーボードもあるが、正常に動作できるのか理論的には不安である。整数なら問題ないはずだ。今後更に外部が上がるなら、「4分周」「5分周」とサポートしていけば、大幅なPCIバスクロック上昇は避けることができる。たとえば外部133MHzの場合、現状の上限の3分周では44MHzになってしまうが、4分周がサポートされれば33MHzにできるのである。

 いずれにせよ現在そのような「かなり融通のきいた連動」をサポートしたマザーはないし、たとえ出てきたとしても「完全な非連動」が不可能である以上、多少のPCIバスクロック上昇は避けられない。この問題は今後もわれわれの前に立ちはだかることを覚悟しなければならないということである。

 


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