YAMAHA RZ350R

2016/12/17


Z250FTが壊れた後、お金がなかったので、すぐには次のバイクを買えませんでした。翌年(1984年)春、私の記憶では確かかなり安くなっていたYAMAHA RZ350(Rのない、初期型)を上野に物色しに行ったと思います。あの青いゴロワーズカラーがほしかったのです。

[当初購入しようとしていたRZ350初期型]

しかしその際、現行モデルのRZ350Rが比較的安く売っていたので、ほぼ衝動買いしてしまったという感じだったと思います。デザイン的には非常に今一でした。色も青が入ってないし、ペイントの仕方も気に入りませんでしたが、現行バージョンであり、また初期型よりも10psアップは捨てがたい魅力だったので、殆ど迷いませんでした。29万円で購入、納車日は4月21日(土)でした。

[購入したRZ350R黒]

色やデザインは気にくわないものの、やはりパフォーマンスは最高でした。購入した1984年4月時点では、既に59psのGSX-Rなども出ていましたが、絶対このバイク(55ps)の方が速かったと思います。特に2サイクル特有のピーキーな性格のため、トルクバンドに入ったときの加速力は半端じゃなかったです。血が全部後ろにいくような感じでした。

[RZ350R黒]

その驚異的な加速力が災いして、買ってすぐ(5月17日(木))国道246号線で事故を起こしてしまいました。用賀一丁目の交差点に差し掛かり信号が赤だったので、シフトダウンをして停止しようとしていました。丁度先頭に出たところで青信号になったので、アクセルを開けたら前輪が突然浮いたのです。いわゆるウイリーですが、意図的にやった訳ではなかったので即座に対処できず、そのまま私は振り落とされて後ろに尻もち。バイクは私の前を進んで逆さまに着地。青になった瞬間のできごとだったので、交差点の全方向の車が唖然として止まっていたため、大事故にはなりませんでした。

何が起きたのか分からず呆然としている私を見て、一台の車から男の人二人が降りてきて、倒れたバイクを起こしてくれて、道路の脇に移動してくれました。お礼くらいは言ったと思いますが、その後二人は車に戻り、交通も正常に復帰しました。私はしばらく壊れたバイクの横で立ちすくんでいました。

バイクの被害という点では、逆さまに地面にたたきつけられたので、インパネ周りがやられました。イグニッションスイッチが壊れたので始動不能。ハンドルパイプが下に曲がって、その状態で右側に倒れたので、ハンドルでタンク右側が凹みましたが、穴があくほどではありませんでした。当然テールランプやミラーも壊れましたが、それ以外は案外無事でした。速度が出ているときの事故ではないので、これくらいで済んだのだと思います。

私の購入したものは上の写真の白と黒のツートンのものですが、下の写真のような赤もラインナップされていたようです。

[RZ350R赤バージョン]

デザイン的には前述したようにとても嫌いでした。色よりもこのペイントの仕方ですね。ラインの入り方が特に今一。タンクからサイドカバーへのラインとテールへのラインがチグハグで全く流動感もスピード感もありません。これなら弟分のRZ250Rのデザインの方がずっと良かったです。そのためもあってかこのバイクはあまり売れなかったと思います。

[デザイン的はずっと良かった弟分RZ250R]

従ってこのRZ250Rのデザイン(これの赤部分をにアレンジしたデザイン)に自分でリペイントしようと試みました。事故でタンクも凹んでしまったので解体屋でタンクを買ってきて、自分でペイントをしてみたのですが、素人がいきなりやってもだめですね。全くうまく塗れず、おまけに買ってきたタンクは穴があいていて使えず。結局諦めて、元のまま乗っていました。

Z250FTの時と同様、写真をとる習慣が依然なかったので、このバイクの写真も一枚もありません。実は購入時は上記のようなノーマルではありませんでした。何かあまりかっこよくないフルカウルがついてました。そのカウルも当然上記の事故で壊れてしまったので、写真のようなビキニカウルを解体屋で買ってきてつけてました。

 

RZRの特徴は何と言ってもYPVS(Yamaha Power Valve System)でしょう。この原理は至って簡単なのですが、2サイクルエンジンの特性、と言うかそもそも内燃機関の特性が分からない方には難しいかもしれません。しかしちょっと解説を試みます。

2サイクル、4サイクル問わず内燃機関の場合、混合気の吸気、排気のタイミングはエンジン性能に直結する極めて重要な要素です。特に問題となるのが、この適切なタイミングが低回転と高回転で違うことです。低回転向けのタイミングにすると、高回転が伸びず、パワーが出ません。一方高回転向けのタイミングにすると低回転がスカスカでとても運転がしずらかったり、排ガスも汚くなり、燃費も悪くなります。レーサーのように高回転に特化できれば、そのように作ることもできるでしょうが、市販車の場合そうもいきません。

4サイクルの場合、このあたりをバルブやカムといった吸、排気を司る専用のデバイスを持っているので結構チューニングしやすいのです。そもそもそのためにこのような仕組みを作った訳ですから。それでも低回転と高回転の両立は難しく、様々な可変システムを開発しています。

2サイクルの場合、シリンダ壁面に吸気、排気ポートがあって、ピストン自体がバルブの役割をします。つまり吸気、排気を司る専用のデバイスを持っていないので、4サイクル以上にチューニングが難しいのです。

吸気と排気のタイミングはシリンダー壁面に開けたポートの位置でほぼ決まってしまいます(厳密にはチャンバーの反射波利用など他にもいろいろな工夫はありますが)。ポートの位置をシリンダーヘッドから見て下げると低回転向け、一方ポート位置を上げると高回転向けになるのですが、それぞれのバランスを見ながら位置を決める他ない訳です。

先代のRZ250/350はこのあたりのサジ加減が難しく、少し高回転よりにチューニングしたので、パワーがあって人気が出ましたが、反面乗りにくいと不評だったのです。まあその乗りにくさも含めてRZの魅力の一つでもあったのですが。

そこで考え出されたのが、回転数に応じてポートを位置を変えるシステムです。排気ポートの上部に回転式鼓型のバルブを設けて、低回転ではバルブが閉じてポートの位置が下がる。高回転ではバルブが開いてポートの位置が上がるという寸法です。これで高回転のパワーや伸びと、低回転の乗りやすさを両立した訳ですね。

[RZRの特徴であるYPVS]

シリンダーヘッドに誇らしげに書かれた「YPVS」の文字はただのラベルで、その右下の丸い部分がYPVSの本体である回転式鼓型バルブです。エンジンのスイッチを入れるとこのバルブが一度開いて、また閉じます。その時ウィー、ウィーと音がするのです。RZRの特徴的なスイッチオン時の儀式です。カーボンの付着などによる動作不良を予防するための言わばクリーニング機能なんですが、この音がいつも楽しみでしたね。

因みにホンダNSRのRCバルブや、スズキ、RGVガンマのAETCもやり方がちょっと違うだけで考え方は全く同じです。

 

写真はないのですが、この頃から非常に簡単なものですが、日記をつけはじめていました。その後またやめてしまった時期もあるのですが、購入してから10ヶ月分の日記があり、当時の細かいことが分かります。

それによるとバイクを購入した日(4月21日)に進路変更違反、それから一月もしないうちに(5月11日(金))指定方向外進行禁止違反と立て続けに違反で捕まっています。点数は多くないので免停にはなりませんでしたが、その違反から6日後に前述の事故です。何か呪われているのかなと思いましたが、気を取り直して、修理して乗りました。その後は順調にバイクライフを楽しめました。最後の最後にちょっとあるのですが。。

購入当初のトラブル続きの後は至って順調で、とにかく速かったです。先のウイリー事故のこともありますが、1速ではパワーバンドに入れることは怖くてできませんでした。必ず2速に入れてから回しました。それでもその加速力は尋常じゃなかったです。

順調にバイクライフを楽しみ、夏にはSP忠男のチャンバーに換装しました。前述のようにノーマルでも十分に速かったですが、マフラーの交換は改造の基本です。特に2サイクルの場合、チャンバーがエンジン性能に果たす役割は極めて大きいので、多くの人が換装していたと思います。チャンバーの換装時にキャブレターのメインジェットを10番上げましたが(250番にした)、正直それ程パワーアップした感触はありませんでした。SP忠男の他に、スガヤユーゾーなども検討しましたが、SP忠男のショップの人の熱意に負けました。

スガヤは当時既に発売されていて大ヒットしていたRG250γのチャンバーの評判が抜群でした。しかしRZのチャンバーはあまり評価されてませんでした。何より直営ショップの人に「パフォーマンスはどう?」と聞いても、まあ大したことのないようなことしか言いません。全く商売をする気があるのかと疑いましたね。とても買う気にはなれませんでした。

一方RZのチャンバーで評価が高かったのがユーゾーです。ただそれは250の話で350の評価はあまりはっきりしてませんでした。それに価格が非常に高かったので早い時期から候補から脱落しました。

その後排気側だけでなく、吸気側のチューニングも必要ということで、このあたりに詳しい友人に教わって、エアークリーナーを削ることにしました。勿論キャブの交換の方が効果が高い訳ですが、当然費用もかかります。RZのエアークリーナーはかなり抵抗になっているのでこれを削ることがRZ250時代から手っ取り早い吸気系のチューニングの定番だったらしいです。

エアークリーナーを削っただけだと、単に混合気が薄くなるだけでパワーが上がらないだけでなく、焼きつきの危険もあります。適度にメインジェットを太くする(番数を上げる)必要があります。削り量を徐々に増やしつつ、プラグの焼け具合を見ながらメインジェットの番数を上げていきました。最終的には270番にしています。

エンジン回転もノーマル時に11000rpmまでしか回らなかったものが、最終的には12300rpmまで回るようになりました。出力などの計算はできませんが、恐らく60psは超えたと思います。

因みにこれによってパワーアップのほかに吸気音がかなり五月蝿くなりました。チャンバーを付けただけではそれほど五月蝿く無かったのですが、エアークリーナーのチューニングはもの凄い効果だったです。

その後BEETのバックステップを付けました。フレームの色に合わせたのかはよく覚えていませんが、赤色のバックステップを付けた記憶があります。安かったので選んだような気がしますが、あまりかっこよくなかったのを覚えてます。 

そしてのこのバイクとのお別れも結構早く来ました。350ccなので車検がある訳ですが、その車検時期になった直後くらい、85年の夏だったと思います。この頃は日記がないので正確な日付は分かりませんが、私が友人との1週間ほどの旅行に行っていた間のことです。何とこのバイクが盗まれたのです。当時はあまり盗難に対して留意しておらず、各種ワイヤーなどでの施錠は全く行ってなくて、ハンドルロックすらしてませんでした。さすがにキーは抜いてましたが、簡単の盗める状況であったのは確かです。

しかしバイクはすぐに見つかり、返ってきたのです。ただ一連のことは旅行中のことだったので私は何も知りませんでした。このころは携帯電話もないので通常旅行中の連絡は簡単にとれません。ナンバーがついたまま経堂あたりに放置されていたので、警察から連絡があり、父親が車で引き取りにいったようです。

更にエピソードを書くと、この時期私はSP忠男のチャンバーを売ろうとしていて、雑誌の広告に載せていました。それを読んだ人が私の旅行中に見にきたのです。バイクは丁度返ってきていたので母親が対応をしたそうですが、チャンバーはありませんでした。そうチャンバーバックステップはちゃんと外されて盗まれていたのです。買いに来た人が驚いたのは言うまでもありません。後日母親が私に報告したことは「タダオのジャンバーがないってびっくりしてたわよ。」ということでした。まぁチャンバーとジャンバーを取り違えている訳ですが、仕方ないですね。

もともと車検を通す金は無かったので、社外パーツは別売り、車体はノーマルにして売ろうと思っていました。社外パーツ売りは当然できず、車検なしの車体はなかなか売れませんでした。結局車体もパーツばら売りしました。RZ350Rのエンジンは当時結構高く売れました。RZ250Rのフレームにそのまま載るので、車検なしの250ccとして350ccに乗れてしまうからです。車検がないので事実上ばれることはありません。それでも6万円くらいで売ってしまったような記憶があります。他のパーツとしては確かフロントタイヤも売れたような気がします。

こうして、結局1年半に満たない付き合いでしたが、私の記憶に深く刻まれたRZ350Rは私の前から去っていったのです。

諸元
発売年月 1983年3月
全長×全幅×全高×軸距 2095×710×1170x1385mm
乾燥重量 145kg
排気量 347cc
エンジン形式 2サイクル並列2気筒
弁機構 ピストンリードバルブ
冷却方式 水冷
内径×行程 64×54mm
圧縮比 6.1
最高出力 55ps/9000rpm
最大トルク 4.4kg-m/9000rpm
ミッション 6速リターン
タイヤ 90/90-18 110/80-18
タンク容量 20ℓ
価格 45万8千円

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