HONDA NSR250R SE 細部

2017/5/14


 エンジン全体

NSRの心臓部エンジンの全体です。カウルを外さないと殆ど見えないので、外して撮影しました。

クランクケースリードバルブ90度縦型Vツインの基本構成は初代MC16からこのMC21、さらに最終のMC28でも変わっていません。

結構複雑なので、ぱっと見どこがシリンダーでどこがキャブか分かりませんね。左側から(下写真)だとクーラントのタンクが邪魔でよく見えません。

Vツイン形式は深いバンク角低重心がもたらす軽快なハンドリング狭い前面投影面積など多くのメリットがあるので、スズキもヤマハもすぐに追従することになります。

 シリンダー

シリンダーをアップにしてみました。

上の写真が垂直より20度前傾のリア側のシリンダーですが、カウルを外しても少々見えにくいです。

下の写真が水平より更に20度倒れたフロント側のシリンダーです。こちらはカウルを外せばよく見えます。RCバルブの開閉機構も確認できます。

このようにV型の場合、シリンダーの一つを下方に配置できるので低重心化が実現したのです。

シリンダーヘッドが丸くなっているのが、MC18との大きな違いです。

 キャブレター

フラットバルブ型は2サイクルでは常識。特徴的なのはその配置です。

V型エンジンの場合、Vバンク内(両シリンダーの間)に配置する場合が多いですが、エンジン後方(後方シリンダーの更に後方)に両シリンダー用キャブレターが並んで配置されているのが、初代からのNSRの特徴です。(下)

クランクケースリードバルプ方式ならではのレイアウトですが、非常に優れた方式だったためHONDAが特許を取ったので、スズキもヤマハも採用できず、キャブ配置に苦労したようです。

 乾式クラッチ

これがSE、SPの特徴である乾式クラッチです。見た目も湿式クラッチと違うのですが、それは比較しないと分からないと思うので、「クラッチ比較」をご覧ください。

ただ見た目よりも、その音に特徴があっていいんですよね。音についてはこちら「乾式クラッチのカラカラ音」へ。音は湿式との比較はしてません。湿式は無音ですから。

乾式クラッチは、半クラッチがやりにくいという話をネットでみたことがありますが、私はそれを感じたことはありませんでした。

 ラジエータ

ラジエータにはファンがついていません。従って夏場、渋滞などではオーバーヒートがちょっと心配ですね。

MC21からラウンド型になります。

 マフラー(チャンバー&サイレンサー)



後述するガルアームのお陰で、右側チャンバーの取り回しの自由度が増し、MC18に比べるとクランクケース下はかなりすっきりしました。MC18ではドグロを巻いてましたから。

方向もMC18とは逆にフロントシリンダーのチャンバーが右側へ、リアシリンダーのチャンバーが左側へ延びています。

またチャンバーの取り回しの変更によって左右のサイレンサーの位置が違う左右非対照になりました。

サイレンサーはこの頃は既に常識になっていた別体型で材質は勿論アルミニウムです。(下写真)

 ガルアーム

MC21の最大の特徴であるガル(gull)アームと呼ばれるスイングアームです。

Gullとはカモメのことで、右側から見た形が滑空するカモメのようなので、そう命名されています。

右側のチャンバーの設計の自由度を高めるためスイングアームが邪魔にならないように変形させているのです。

一方左側はチェーンがあるため、同じ形にはできないので、別の形にして重量だけは合わせているということです。

 メインフレーム

NSRで特徴的なのが、初代から継承されたこの目の字断面ツインスパーフレーム異形5角形になったのはMC18から。材質は勿論アルミニウム合金です。

さらにMC21では厚さは薄くして、幅は縦に長くしました。ねじれ剛性は20%ほど高まったとか。

 ガソリン・タンク

ライダーが伏せやすいようにトップを平らにしたガソリン・タンク。

容量は16リットリあります。決して多くはありませんが、このバイクはなかなか燃費がよく、街乗りでも18km/1リットル、高速だと最高22km/1リットル走るので、航続可能距離は結構長いです。

 前輪

ホイールサイズ(径)は17インチです。この頃のロードスポーツでは最も一般的なサイズです。

スポークがU字断面の6本になったのはMC18からです。(MC16はS字断面の3本スポーク)

そしてSEであるにも関わらず何と材質はマグネシウム合金です。その証拠が「MAGTEK」のロゴ(下写真)。なおMAGTEKロゴ以外にもマグテックホイールであることを示す特徴があるので、「NSR250R マグテックホイール」で解説しています。

タイヤはピレリDIABLO ROSSO Uが着いてました。サイズ(幅)は110mmと普通です。

 フロントフォーク

フロントフォークはご覧の通り、オーソドックスな正立フォークです。既にいくつかのスポーツバイクが倒立フォークを採用してましたし、その後TZRやRGVΓなどライバルも続々と倒立化しましたが、NSRは結局最後のMC28でも採用しませんでした。

ホンダは少々倒立フォークには消極的でしたね。全く採用してない訳ではない(RVFやNRで採用)ですが。

下の写真はSE、SP特有の機能であるサスペンションの減衰力調整機能の一つ、フロントフォークのイニシャル(初期加重)調整/伸び側減衰力調整をするアジャスターです。

マイナスドライバーで調整するのが伸び側の減衰力。時計回りに回すとハード、反時計に回すとソフトになります。

その周りの円柱が二面並行に切削されている部分はスプリングイニシャルアジャスターで時計回転(締め込み)でイニシャルを上げて、反時計回転(緩める)でイニシャルを下げることが出来ます。

 後輪

リアタイヤは今となっては、大して太くはありませんが、当時は250ccクラスでは最も太い150mmです。

ホイールは17インチです。リヤホイールが17インチになったのはMC21からです。MC18までは18インチでした。

後輪のホイールも前輪同様マグテックホイールです。

 リヤショック

スポーツバイクのリヤショックがモノサスなのはとっくに常識になってました。前述のようにSE、SPだけに減衰力調整機能があります。

リアショックの下に付いているマイナスネジ(下写真)がテンション(伸び側)の減衰力調整機構で、フロントフォークと同じように時計回りに回すとハード、反時計に回すとソフトになります。

スプリングのイニシャルアジャスターはリアショックの上部にあるダブルフックナットにて調整します。

 リヤショックのオイルリザーブタンク

やはりSE、SPの特徴で、リヤショックの減衰力調整を行うためのショックアブソーバーのオイルリザーブタンクとアジャスターです。

フロントフォークと違いリアはコンプレッション(圧側)の減衰力も調整できます。

リザーブタンクの下の方のマイナスネジがアジャスターで、これで調整します。時計回りがハード、反時計がソフトなのは同じです。

 ブレーキシステム

フロントブレーキ(上)は当然ダブルディスクですが、当時流行っていた異なった径のピストンを片側二つずつで両側からディスクを挟む所謂異径4ピストン型です。

異径なのはキャリパーのピストンをディスクの円周上に並べたとき、パッドはディスクによって引き込まれる方が強く当たります。そのため入り口側のピストンを小さくしてできるだけ均等にパッドを押し付けてあげようという発想。

リアブレーキ(下)はシングルピストンの片押し型ですが、ディスクキャリパーの固定がMC18後期型で一度フレーム固定になってましたが、MC21でまたスイングアーム固定に戻されました。

 ステップ回り

ステップは社外品が付いてました。

NSR用としては定番のダブルアールズ社のものです。

色がというのが個人的には今一です。フレームと同じ色にすればいいのに。

 ヘッドライト
ヘッドライトは2灯横長の四角に収まっている形です。MC21の特徴ですね。

  テール

テールライトはNSRの特徴である丸二灯です。その上にSEのマークが付いてます。

NSRではMC18の初期(ハチハチ)からこの形ですが、上部の跳ね上げ角度がMC21の方が高く、アグレッシブな印象になってます。

 シート

タンデムシートオマケです。本来この年式だとタンデムシートは赤色ですが、過去オーナーが替えたものと思われます。

メインシートも薄くて、いかにもレーサーという感じですが、見た目ほどすわり心地が悪い訳ではありません。

シートストッパにラバーが着いているのはMC21だけの特徴です。(MC28では無くなった)

 シート下

タンデムシート下が小物入れになっていて、鍵付きシートストッパーを開けてアクセスします。6.8ℓはあるそうで結構入りそうです。

ETCの本体はここに入れました。

 タンデム・ステップ


これはMC21の特徴で、タイデム・ステップが普段は外から見えません

写真の「PUSH」と書いてあるレバーを押しながらテールカウルの中に隠れているステップを下ろします。

真ん中の写真がステップをカウル内から下ろしたところ。この状態で荷物用のフックとして利用できます。

さらにステップを手前に引くと出てきて、足を乗せられるようになります。(下の写真)

 キックスタータ・ペダル

2ストレプリカは基本的にセルスタータではなく、キックスタータです。これはそのペダル。

まさかこれにこんなに苦労させられるとは。。。

 インパネ

ぐっと低いセパレート・ハンドルがレーサーレプリカたる所以ですが、ツーリングには厳しいですよ。

 メーター類

タコメータと水温計はスポンジでマウントされているあたりは、レーサーそのもの。

スピードメータが別マウントなのは、レース時に簡単に取り外すことができるようにです。徹底してますね。

 左右ハンドル

ハンドルに付いてるスイッチ類はこれといった特徴はありません。

当時はまだヘッドライトの常時点灯が義務付けられていなかったので、ヘッドライトのスイッチがあります。

 エンジンオイルタンクとオイル警告灯


2サイクルの特徴として、ガソリンと同様にエンジンオイルを消費すること。

ガソリンほどの勢いで消費する訳ではありませんが、通常1000kmに一度くらいは給油の必要があるので、4サイクルよりも給油しやすいようにできてます。容量は1.2リットルです。

給油口のあるタンクはリザーブタンクで、その下にホースで連結されたメインタンクがあります。(中写真)

下写真はオイルが少なくなってきたので、オイル警告灯が点灯してるところです。4サイクルの場合、オイル警告灯がつくのはかなりやばいですが、2サイクルでは日常ですね。警告灯は残り0.2リットルくらいで点灯するので、まだ200kmくらいは走れます。

このバイクのオイル燃費は一般的なリッター1,100km程でした。


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